こんにちは、松原です。
先日HTBの「イチオシ!」という番組に取り上げて頂きましたが、放送を見たある会社の方から、使い捨ての長袖ガウンをご寄付いただきました。
行政や問屋からも入りにくく、不足している物品ですので、大変有難かったです。
この場を借りて、御礼申し上げます。
さて、本日は新型コロナウイルスの抗体検査について、考えてみたいと思います。
難しくなるといけないので、IgM/IgGや感度/特異度といった話は割愛します。
新型コロナウイルス抗体検査の意義は、平たく言うと「コロナウイルスにかかった事がある」という一点につきます。
診断ではなく、疫学にその意義があります。
抗体は感染してから1~2週間立たなければ発現されないため、今現在の感染の診断のためには、PCRや抗原検査が有用になります。
巷では抗体検査が受けやすくなり、当院でも6月の時点から検査は可能です。
当院では当初、「かかった事がある」のを知る目的だけではなく、長引く症状で社会参加が出来なくなっている方へのPCR検査代替案、と言う期待も含めて抗体検査を始めました。
2月から春にかけて、疑いのある患者さんが来られても、PCR検査の敷居が高く、なかなか検査を受けさせてもらえない状況が続きました。おそらく大丈夫だろうけど、微熱が続くから学校/会社に1ヶ月近く行けていない、という方が多くおられ、その都度膝を付き合わせて「困った困った」と言うしかありませんでした。
最近でこそ、市のPCR検査の体制がだいぶ整いましたが、緊急事態宣言の間は他に手立てが見つからないのが現実でした。
その後抗体検査の納品が少しずつ見えてきたため、2週間以上症状が続き、他の病気が明らかに否定されている方にとって、診断できないものの、長引いている症状の原因は「コロナではなさそう」という「判断」には使えるかもしれないと考えました。この意味合いでの検査の対象者は、あくまで上述した、長引く症状の不安や社会参加に悩んでいる方々ですが、実際に検査で陽性になった方はいませんでした。
繰り返しになりますが、検査にはそれぞれ意義があり、現在の感染にはPCRや抗原検査、過去の感染には抗体検査が有用です。
PCR検査体制が整ってきた現在では、個人に対しての抗体検査の意義は「コロナにかかった事がある」のを知るという点になるでしょう。 今現在の感染を否定する目的で使うのは、抗体の意味を理解しなければ危険かもしれませんし、受けられるならPCRに越したことはありません。ただPCR検査や抗原検査については、行政検査であることや感染リスク、コスト面も含めて、すべての医療機関で自由に行うことはまだ難しいのが現実です。
忘れてはいけないのは、どの検査も完全ではなく、検査で陰性でも、帰り道などで感染するリスクは無くならない事です。
個人的な考えではありますが、確たる治療が見つからない間、コロナウイルスに対しては、感染しないよう予防策を設け、慎重に生活を続け、状況や症状が疑わしいときは診察や検査を受ける、という事しかないように思います。
必要以上に不安になることもありませんが、全く忘れて生活することも、きっと良くありません。
コロナウイルスとの生活が余儀なくされた今、バランスを保ち、病院など社会のインフラを守ることが、私たち市民と行政が心がけていくことだと感じています。
今年の冬はインフルエンザとコロナウイルスが共存する、かつてなく難しい状況になります。インフルエンザワクチンを打てる方は、なるべく打つべきだと思いますが、クリニックもワクチンが手に入りにくくなる危険性を感じています。
しかしながら、感染症との戦いは人類の歴史で繰り返されてきていますので、必ず打開策は見つかると思います。
毎日、できる事をしていきましょう。