こんにちは、松原です。

2月はあっという間に時間が過ぎ、更新ができませんでした。

すみません…

本日は慢性下痢症状の原因になる、ちょっと珍しい病気をお話しします。

 

腸管スピロヘータ症という病気をご存知でしょうか。

以前お話ししたcollagenous colitisと同様に、慢性下痢症状がありながら、大腸カメラでは特徴的な所見が少なく、診断には組織検査が必要になる病気です。

 

スピロヘータは人畜共通感染症とされ、感染経路は経口感染が考えられています。

病理組織検査で刷子縁状の菌の付着を認め、Grocott染色やWarthin-Starry染色といった特殊な染色を施すことが診断に有用とされています。

 

境界面にある黒い縁取りが刷子縁状の菌です。

臨床症状は慢性下痢や腹痛、血便、便通異常などが報告されていますが、一方で病的意義が少ないとも言われています。

しかしながら、スピロヘータの治療により慢性下痢が改善したという報告があること、私の経験でも抗生物質による除菌治療後に症状が改善したことがあり、慢性下痢の原因疾患であることは十分に考えられると思います。

ちなみに、スピロヘータ症は慢性下痢患者の0.7%に認められたという報告もあります。稀な疾患ではありますが、慢性下痢症状があり内視鏡的に異常を認めない場合、組織検査を追加すべきだと考えています。

ひらたくお話しすると、慢性の下痢症状の解明のために大腸カメラを受けるのであれば、組織の検査も追加してみましょう、ということです。

せっかく2Lの下剤を飲んで、楽ではない検査をするのですから、可能性として知っておいて頂きたい病気だと思っています。