こんにちは、松原です。

 

1ヶ月前までは想像もできなかったような状況が、日々ニュースで報道されており、皆さんも我々医療者も戦々恐々としている状況です。

 

ナーバスな問題で刻一刻状況が変わる中なので極端なことは言えませんが、現時点でいち医療機関として思うところを、語弊のないようお話してみたいと思います。

 

そもそもコロナウイルスで人に感染を起こすものと言われているのは6種類あり、そのうち4種類は普通の風邪の10〜15%を占めると言われています。SARSやMERSもコロナウイルスです。今回の新型は、この6種類に当てはまらないものとされています。

 

その感染力や現在の感染拡大については、様々な情報が飛び交っていて、何を信じればいいのかというのが実情だと思います。

 

同業者の信頼性が高い情報を調べていて思うのは、現状風邪やインフルエンザのシーズンに見分けをつけるのは、非常に難しいということです。

国内に感染が発生している状況で、武漢の方との接触だけをキーワードにするのも、現場では無理があるように思います。症状の出た患者さんの相談事を、まず保健所や医療機関の電話に集約する、というのも回線がパンクしてしまうのではないかと心配になります。

 

コロナウイルス感染については、国内では検査ができる施設がまだ限られているので、誰でもどこでも検査ができるわけではなく、不安であるという理由や、軽症で改善していく病状では、積極的な検査は行わないのが現在の方針のようです。

 

先日あるクリニックの感染者への対応を放送していましたが、病状を聞き、診察をし、症状次第でインフルエンザの検査や採血、レントゲンを撮る…といった、ごく当たり前の対応から始めるようです。同じクリニックの立場から感じる大切なことは、経過を追いながら、改善が乏しく悪化する場合、入院施設がある病院へ紹介できる体制を保つことだと思います。

 

インフルエンザについて、「強めの風邪」であるということは以前述べた通りです。今回のコロナウイルスがそれに当たるかどうか、まだ定かではありませんが、現在これだけ蔓延し始めている状況で、知らないうちにインフルエンザではない「しつこい風邪」をひいてしまい、自然に治っていくことはありうることだと思います。容易に検査ができない状況で、この原因がコロナウイルスではないと、断言もできないと思います。健康な方は自然に軽快することが多いのであれば、こどもや高齢者、持病をお持ちで免疫力の低い方々の感染をできるだけ防ぐ、という姿勢も変わらないと思います。

医療機関として、無用なパニックを起こさず煽らず、重症化する方がいれば、前述した通りの対応を粛々と行なっていこうと思います。

 

風邪の自然経過は、だいたい三日でピークを過ぎるとされています。

経過を慎重に観察し、症状がそれ以上続く場合、手順を守って冷静に対応していきましょう。

 

月並みな言葉でしか話をまとめられませんが、手洗いや咳エチケットなどの一般的な感染対策を普段よりしっかり行い、温かく過ごし、部屋の湿度を保ち、栄養をとり、よく寝て、無理をしない。すぐに収束するとは思えない状況ですので、ウイルスに負けない、強い免疫力を保ちたいですね。