こんにちは、松原です。

 

寒いですね。気がつけば10月も半ば、一年あっという間です。

風邪が流行ってきていますので、体にはますますお気をつけください。

 

とはいえ、食欲の秋、スポーツの秋です。

今日は運動にまつわるお話をしようと思います。

 

「少し痩せましょう、運動してください。」

病院でよく聞くフレーズだと思います。私も、よくお伝えしています。

私自身も耳が痛い言葉ですが、割り切ってお伝えしています。

 

多くの方が医療機関に通い始めるきっかけの一つとして、健康診断などで指摘された生活習慣病が挙げられます。

内因性や遺伝性の疾患でなければ、不摂生によるメタボリックシンドロームが関与していることが多いです。

 

生活習慣病の治療を行う場合、我々医師はすぐに薬を出したりはせず、多くの場合食事指導や運動の指示をして、一定期間後に再検査を予定します。

 

栄養指導は、多くの場合医師や管理栄養士から指導を受けますが、現在の情報社会では意欲さえあればインターネットや教本から十分に知識を得ることも可能です。

運動も最近では個別指導ジムが流行りですので、トレーナーから個別指導を受けることが可能です。

しかし、主に整容を目的とした行き過ぎた食事調整や、過度なトレーニングは、時に命に関わることがあるので注意が必要です。

 

スポーツにおける突然死の発生頻度は、概ね若年者で数十万件に1件、中高年で数万件に1件と言われています 1)。最近では、有名人が東京マラソンで心停止するなど、不整脈などの心臓に持病がある方は、運動そのものが突然死のリスクになることもあります。

 

とくに日頃運動不足の方が運動を開始するにあたっては、突然死を予防するためにも、今の自分の体調を知っておく必要があります。

 

それが、メディカルチェックの役割になります。

 

一般的なメディカルチェック項目は、①血液生化学検査、②尿検査、③胸部レントゲン検査、④安静時心電図、が推奨されています(一般的な健診項目で事足りると思います)。

そして、これら基本項目で異常がある場合に二次検査を行います。

スポーツ参加当日の体調についても、セルフチェックする必要があります。

 

手間はかかりますが、己を知ることで、予期せぬ不幸な事故から身を守ることができるのです。

 

運動には、人生を豊かにする力があり、体を健康にする力もあります。

その運動が、不幸な結果を招いてはいけないと思っています。

 

運動を指示され重い腰をあげる際、いきなり無理をしないよう、「誰のために、何のために始めるのか」も考えて欲しいと思っています。

 

1)心臓 2016;48:127-134