こんにちは、松原です。

初心に戻ってよもやま話(雑談)をする事にしました。

雑談なので気楽に読んでください。

 

今回はタイトルにあるように、今年初体験した特許取得の経験をお話しします。

厳密に言えば、実用新案権取得であり、特許権取得ではありませんが、馴染みのない言葉なのであえてわかりやすく‥、タイトルはご容赦ください。

春にお話した、内視鏡の感染予防シートの実用新案権が、先日認可されました。

このシートを思いついた時に、新しいチャレンジとして形に残そうと思ったのが始まりでしたが、学びが多くいい経験になりました。

 

さて、発明の知的財産権は大きく分けて

①特許権

②実用新案権

③意匠権

④商標権

があります。

①の特許権は皆さんご存知の通りですが、他は聞き慣れないかもしれません。特許はその性質上審査が非常に長く、労力もお金もかかります。 一方今回私がチャレンジした②の実用新案権と言うのは、言ってみれば特許権の簡易版と言うところです。 アイデアを安価で早急に知的財産として申請する際に有用な方法ですが、権利の期間が短い、権利の発動には別の手続きが必要になったりします。

①〜④はメリットやデメリットがそれぞれあるのですが、今回の私の状況であれば、②でチャレンジが妥当そうでしたので、勇足で挑戦する事にしました。

権利申請は弁理士という資格の方に依頼すると、手続きを正しく行ってくれるようですが、専門家に依頼する予算がなく、何より自分でやらないと学びにならないので、以下の流れを独学で行ってみました。

特許=製品化と考えるのであれば、きちんとした手続きを踏むべきなので、あまりお勧めしません。

 

まずは、今まで同じようなアイデアがないか、J-PlatPatというプラットフォームで公開情報を確認します。考えうるキーワードで500弱の案件を確認した覚えがあります。

素人が出来るリサーチはこれくらいです。

次に、申請にあたってルールがあるので、これを読みます。

 

 

 

 

 

 

 

電話帳のような厚さです…。

 

知的財産はパリ条約などを含めた規定があり、時間との勝負です。つまり同じ内容なら一日でも早く出さなければ、新規性は認められません。そして新規制の範囲は、日本の中だけに留まりません。

アイデアを思いついてから、できるだけ急いで文章と図面を書いて、提出しました。

あまりに急ぎ過ぎたので、誤字脱字のオンパレードになり、申請提出翌々日に訂正文を送った始末です‥。

その後、審査が通れば数ヶ月で認定されるはずだったのですが、案の定『この内容ではちょっと‥』と言われてしまいました。 言い回しなど独特の修正が必要とされ、素人の私にはチンプンカンプンでした。今更専門家の門戸を叩くのは気が引けたので、毎週決まった時間に特許庁に電話をして指南を受ける、と言う方法をとりました。

私の担当の審査官の方は大変地頭が良く公正な方でしたが、何せ私は門外漢、電話口で唱えられる呪文のような用語やその意図を理解するのが大変で、頭がスポンジになりそうでした。 その方は覚えの悪い私に人情味を持って対応して下さったため、私も最後の力を振り絞って全集中し、無事最終提出に辿り着くことが出来ました。

 

そこから待つ事3ヶ月、無事実用新案権が確定したと言う事です。

 

総じて今回の雑談は、

・アイデアは形にすると達成感がある。

・新しい学びを始める時は、試験を(無理矢理)受けるに勝る事はない。

・特許庁は大変親切でした。

・本実用新案権の使い道は、まだない。

・松原の文章は、やはり長い! でした。

 

最後に、当院の内視鏡検査で活躍する本シートの有用性を示してみます。

霧吹きに青色絵の具を入れて、飛沫に見立ててシート内から吹いてみると‥

 

 

 

 

 

 

ご覧のように、飛散範囲がシート内に抑えられています。

エアロゾルの科学的な検討までは当院レベルで出来ませんが、意図するところ(飛沫対策)は出来ていると信じたいです。

このシートの製品としての可能性は、私の新案権取得の思い出とは無関係で、神のみぞ知る‥ですね。