発熱症状の方が増え、インフルエンザとコロナの検査を受ける方が多くなっています。
ウイルス感染にはウインドウピリオドがあり、上記2疾患であれば、基本的には発熱してから半日から一日経ってからの検査を推奨しています。
 
当院では、熱が出てから半日〜1日経っていない場合は、基本的には検査を勧めていません。
 
ウインドウピリオドで検査して、陰性だったからあらためて検査を受けたいと言うご要望には、現実的にハードルがある事も知っていただきたく、下記にその理由を記載させてもらいます。
 
 
● ウインドウピリオドについて
 
コロナウイルス (COVID-19)
新型コロナウイルスのウインドウピリオドは、検査の種類によって異なります。
  • 抗原検査(定性検査):
    • 発症後、半日〜1日程度はウイルス量が少なく、陰性となる可能性(偽陰性)があります。発症から2〜9日目が最も検出感度が高いとされています。
    • 無症状者の場合、ウイルス量が少ない時期は検出が困難なことが多いです。
インフルエンザ
インフルエンザのウインドウピリオドも検査方法に依存しますが、特に重要なのは「発症からの時間」です。
  • 抗原検査:
    • 発症直後(特に発熱から3〜6時間以内)はウイルス量が少なく、陰性と判定されることがあります。
    • 一般的に、発症から12時間〜24時間経過後が最も検出されやすいタイミングとされています。
    • 医療機関では、発症からの時間を考慮して検査のタイミングを判断します。
どちらの感染症も、症状が出た直後に検査して陰性だった場合でも、ウインドウピリオドのため偽陰性(陰性だけど本当は罹っていること)の可能性が高くなってしまいます
 
では、なぜ何度も検査するという事にハードルがあるのかを説明します。
 
● コロナ検査の保険診療ルールと査定
 
診療報酬点数表では、コロナウイルス抗原検査やPCR検査(核酸検出検査)について、以下のようなルールが定められています。

・原則1回限り: 原則として、診断確定まで(または1つの疾患の診断目的で)1回に限り保険算定が認められています

・例外的な再検査(2回まで): ただし、最初の検査結果が陰性であったものの、他の疾患の診断がつかず、医師が医学的に必要と判断した場合に限り、もう1回に限り算定(合計2回まで)が可能です。

・医学的根拠の記載義務: この例外規定を利用して2回目の検査を算定する場合、「本検査が必要と判断した医学的根拠」を具体的に記載することが求められます。

● インフルエンザ抗原検査の保険診療ルール
インフルエンザウイルスは、発症直後はウイルス量が少なく、検査しても偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出る)になる可能性が高いです。その一方で、
 
・48時間ルール
インフルエンザ治療薬(タミフル、イナビルなど)は、発症から48時間以内に服用しないと十分な効果が得られないとされています。そのため、この48時間以内に診断をつけることが重視され、検査はこの時間内で行われなければならないとされています。
 
インフルエンザ抗原検査も複数回受けることは可能ですが、発症早期では検査意義が乏しくなり、推奨できません。
迅速キットで検査をしていると、やはり発症して丸一日経っていれば高い確率で検査は陽性になる印象です。逆に発症数時間では陰性と出てしまうことが多いです。
 
私達医療者は、基本的にウイルス感染のウインドウピリオドを知っていて、感度の低い発症数時間での検査は、当然意味が乏しい事を知っています。
そして保険診療である以上、ルールにのっとって診療をしなければならず、要望のままに全て検査とはなりません。前述した例外的な2回ルールは、『他の疾患が否定され、やはりコロナしか考えられない』という状況が設定されています。つまり、熱が出ている他の原因を調べるために、採血検査やレントゲン検査などを行い、それでもわからないので2回目の検査をする、という事です。余計なお金や時間がかかりますし、検査による体への負担も加わります。
 
現場では短い時間で十分に説明することは難しく、詳細をこちらに記載することにしました。
 
当院では、身体診察を行なった上でこれらの検査を行います。診療後に再度具合が悪くなったら、また来てもらいたいとも思っています。ですが保険診療には厳密なルールも設定されています。
インフルエンザやコロナが心配な事も理解していますが、早すぎる検査はあまり意味が乏しく、翌日気軽に検査を受けるのにもハードルはあることをご理解いただければと、切に願っています。