⚫︎逆流性食道炎とは
胃酸の逆流により、食道より口側に炎症を起こしている状態です。
苦味や酸味の自覚、のどの痛み、みぞおちの痛み、げっぷ、食欲がなくなるなどの症状が見られます。
⚫︎原因
食道と胃の間の噴門では、下部食道括約筋がはたらき、胃に入ったものが食道に戻らないようになっています。この下部食道括約筋の働きが障害される、腹圧が下部食道括約筋の締め付ける力より勝ってしまうなどにより、胃の内容物が食道へ逆流してしまう事が発端です。これが常態化すると、食道粘膜に炎症が起こるようになります。
症状自体は、胃酸分泌を抑える薬などを用いることで比較的簡単に治まりますが、欧米型の食生活など生活習慣に関わる部分が多く、再発しやすいのも特徴です。重症化すると食道の粘膜が変質して(バレット上皮といいます)、食道がんのリスクが高まりますので、治療と共に生活習慣の改善が大切です。
⚫︎内視鏡検査における逆流性食道炎の重症度(改定ロサンゼルス分類)
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グレード |
症状と拡がり |
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N |
胸やけなどの症状はあるが、食道粘膜に変化を認めない |
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M |
食道粘膜に炎症はみられないが、色調が変化している |
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A |
直径5mm未満の粘膜障害はみられるが局所的で粘膜ヒダの一か所に留まる |
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B |
直径5mm以上の粘膜障害はみられるが、互いに連続していない |
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C |
複数の粘膜のヒダに連続した粘膜障害が拡がっている |
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D |
全周の75%以上の粘膜障害がある |
〜非びらん性胃食道逆流症(NERD)について
逆流性食道炎の症状があるにもかかわらず、内視鏡検査を行って粘膜の異常が見られないことがあります。実際に症状のある7割くらいの方が、内視鏡検査で異常を指摘されないNERDであるといわれています。症状は胃酸による食道の過敏状態が原因であり、多くの場合逆流性食道炎の治療で良くなります。
⚫︎治療法について
・逆流性食道炎の薬
ボノプラザン(タケキャブⓇ)やエソメプラゾール(ネキシウムⓇ)、ラベプラゾール(パリエットⓇ)などのPPI(プロトンポンプ阻害薬)やファモチジン(ガスターⓇ)H2-blockerで胃酸を抑えます。
胃の動きをよくするモサプリドクエン(ガスモチンⓇ)、粘膜保護剤としてアルロイドGⓇも、強い症状があるときは効果があります。
また、漢方薬で六君子湯などもよく使われる選択肢になります。
・気になる食べ物など、生活習慣について
逆流性食道炎の症状を抑えるためには、消化に良い食べ物を選ぶことが大切です。
胃の中に長く留まる食べ物は胃酸の分泌時間が長くなるため、症状を悪化させてしまうことがあります。
症状の強いときには、以下の食事が推奨されます。
- うどんやお粥、そうめん
- 鶏肉(ささみや胸肉)
- 魚(タラ、ヒラメ、カレイ、タイなど)
- 大豆製品(豆腐、納豆など)
- 野菜
- 果物(りんご、バナナ)
- 調理法…揚げたり炒めたりするよりも、蒸し、煮る、茹でるなどの方法で調理した柔らかい食べ物がおすすめです
逆に、油もの・アルコール・コーヒー・酸味のあるもの(酢・レモンなどの柑橘系)・チョコレートなどの甘いもの・炭酸飲料などは、消火に時間がかかったり、胃酸の分泌を強めることもあり、症状の強いときは推奨できません。
また、食べ方の工夫もあり、寝る時間の2~3時間前前までには食事を終えている方が良く、一度に大量に食べると胃酸の逆流を助長するため、腹八分目に抑えることも効果があります。
⚫︎番外編~咳と逆流性食道炎
胃酸の逆流によって、咳症状が発生することがあります。
咳を起こすメカニズムとしては後述する2つが考えられています。
- 胃内からの逆流液によって喉や気管を刺激し、咳症状が出る。
- 逆流したによる食道内の知覚過敏反応として咳が出る。
逆流性食道炎による咳症状は、多くのケースが②の知覚過敏による咳が多いと知られています。実際には咳自体は逆流性食道炎の症状としてはそれほど多くはないと考えられていますが、臨床の現場では時々遭遇することがあります。
咳の鑑別疾患としては喘息や肺炎などの呼吸器疾患が第一であり、まずは専門家により診断が必要になります。しかしながら、寝るときに横になると咳が誘発される方や、逆流性食道炎によくある症状が随伴する場合は、可能性の一つとして疑ってみることも大切なのかもしれません。







